先日、亡くなられた方のご親族から、「遺言書が出てきたので、それに従って不動産の名義を変更してほしい」というご依頼をいただきました。
そこで、ご持参いただいた遺言書を確認してみると、そこには「私の所有する家を〇〇氏に譲る」とのみ書かれていました。
通常、専門家が遺言書を作成する場合には、財産(不動産)を登記記録に従って特定して記載します。
すなわち、所在、地番、地目、地積、家屋番号、床面積・・・などで、物件を明確に特定していきます。また、末尾の文言は「〇〇に相続させる」「〇〇に遺贈する」とし、遺言を作った方の意思が確実に実現するように注意を払って作成をします。
今回の遺言書では、財産の記載は「家」とのみ。また、末尾は「譲る」と記載されており、遺言者の意思は一般的には伝わるものの、法的な明確性の観点からは疑問点が出てきてしまう遺言書でした。
すなわち、もし「家」が2つあるとすれば、どちらの「家」を相続させるのか不明になってしまうので、第三者(=役所・法務局)からすると、特定性・明確性がないと判断され、遺言書に従った名義書換ができないとされる恐れがあります。
今回は、事前に法務局と何度も打ち合わせをすることによって名義書換を受理してもらえましたが、もしかすると遺言が無効と判断されて名義書換ができない可能性もあったのです。
遺言書は残された親族へ送る最後のラブレターと言われることがあります。現在の法律では、自分の財産の譲り先を自分で決めれる唯一の方法が遺言です。しかし、せっかく作成した遺言が、後に無効と判断されてしまっては全く意味がありません。
思いを伝えられる遺言だからこそ、必ずその思いを実現できる様に準備する必要があります。
当事務所では、「思い」を「確実に実現」できる遺言書作成を心がけていますので、どうぞ無料相談をご利用ください。