自筆証書遺言と公正証書遺言、お勧めはどっち?

遺言書の作成を考えている方から質問を受けることがありますが、その中で最も多い質問が自筆証書遺言と公正証書遺言の比較についてです。

「どちらの遺言書を作成したほうがいいのでしょうか?」という質問は必ず聞かれる質問になります。

ずばり、その回答は、手軽さを取るなら自筆証書遺言です。これに対し、確実に自分の遺言内容を実現させたいなら公正証書遺言です。

自筆証書遺言は紙とペンがあれば作成することができますし、費用もかかりませんので手軽に作成することができますが、その反面、紛失や改ざんのおそれがあり、また自筆証書遺言の条件を満たさず遺言自体が無効とされるなどの危険性も伴います。

例えば、よくある失敗例として、文面をパソコン作成し、署名のみ自筆をしたというもの。これは自筆証書遺言にはなりません。あくまで、全文を自筆することが求められるからです。

また、作成の日付を「平成29年5月2日」ときちんと書かずに、「平成29年5月」としたものや、「平成29年吉日」と書かれた自筆証書遺言書も裁判で無効と判断されています(大決大5.6.1)(最判昭54.5.31)。

このように、自分の相続で家族に迷惑かけないために作成した遺言書が、逆に相続人間の争いを招いてしまうこともありますので、自筆証書遺言の作成には注意が必要です。

 

これに対し、公正証書遺言は公証役場で作成しますので、費用が発生してしまいます。これが、手軽に作成できる自筆証書遺言との大きな違いかもしれません。ただ、公正証書遺言は原本が公証役場で保管されますので紛失や改ざんのおそれがありませんので、確実に自分の意思を実現することができます。また、公証人が内容や形式をチェックするので、無効になってしまうというおそれもありません。

 どちらがいいのかということは一概には言えないかもしれませんが、司法書士の立場からアドバイスすると圧倒的に公正証書遺言がおすすめとなります。

それは、司法書士としてのこれまでの経験上、自筆証書遺言の形式や内容に関して相続人間で揉めるという場面に遭遇することが多いからです。せっかく残される相続人のことを想って作成するのですから、後々のトラブルは避けたいものですよね。

公正証書遺言というと、公証役場など馴染みのない場所にいかなければならず、なんだか難しそうだなというイメージがあるかもしれませんが、そのようなときは司法書士にご相談ください。全面的にサポートさせていただきますので、スムーズに作成いただくことが可能です

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