相続・遺言

知ってビックリ定額小為替のお話

2017-05-08

前回、戸籍集めは大変というお話をさせて頂きましたが、それに関連してのお話です。

遠方の役所に対して郵送で戸籍等を請求する場合、戸籍代として現金ではなく定額小為替を使用するというお話をさせて頂きました。

「定額小為替ってなに?」と思った人もいるかもしれません。実は私も司法書士という仕事に就くまで、定額小為替という言葉自体知りませんでした。

まず、為替とは現金の代わりに相手方に送って、目的地で現金に換金してもらうことができる有価証券のことをいいます。定額小為替はその有価証券の一つで郵便局があらかじめ用意している金額が決められた為替です。定額小為替は少額の現金を払いたいときなどに便利な方法です。なぜかというと、現金を誰かに送る場合は普通郵便で送ることはできず、「現金書留」で送る必要がありますが、定額小為替は「普通郵便」で送ることができます。

取得する戸籍の種類によって値段が違いますが、戸籍は1通数百円ですので、定額小為替は便利なのかもしれません。

しかし、実際に使ってみると不満がたくさん(笑)

定額小為替は全部で12種類(50円、100円、150円、200円、250円、300円、350円、400円、450円、500円、750円、1000円)あります。

なんと、これを購入するだけで手数料がかかるのです。それも金種にかかわらず100円の手数料がかかるのです!

つまり、50円の定額小為替を買うのに150円必要になるのです。いまだにこれには納得ができません。

また、定額小為替には「発行から6か月」という交換期限というものがあります。6か月を経過した定額小為替は即時換金ができず、再発行してもらってから換金する必要があります。

実は、このコラムを書く前に、郵送で戸籍を請求する準備をしたばかりです。我々、司法書士は法務局に登記申請したり、裁判所に訴状を提出したりするのですが、そのときには収入印紙を使います。郵便局でも収入印紙は買うことができるので、戸籍を請求するときも収入印紙にしてくれれば便利なのにと思いますし、さらにネットバンキングが使えれば便利になるのになあと思うのですが・・・

最後のほうは愚痴になってしまいました。

戸籍集めが大変な理由

2017-05-04

相続や遺言作成の手続きをする際に必ず必要になるのが戸籍です。戸籍にも「戸籍謄本」「除籍謄本」「改製原戸籍」などの種類があり、これらは本籍地の役所で取ることができます。他にも住民票の除票や戸籍の附票なども相続手続きでは必要になりますが、厄介なのは現在の居住地と本籍地が遠く離れているときです。

生まれてから亡くなるまでずっと一か所の場所に本籍地を置いてれば、その場所だけですべての戸籍類を揃えることができるのですが、わたしの経験上、そのような人は稀です。引っ越しをするたびに本籍地も移動している人もいます。

我々、司法書士が相続手続きのお手伝いをさせて頂く場合、相続人の方が戸籍類をすべて揃えることもありますが、司法書士が代わりに職権で取得することも可能です。当事務所では司法書士が職権で取得することのほうが多いのが現状です。その一番の理由が、請求する役所が多すぎて、一般の方には負担になってしまうことが多いからです。

遠方の役所に対して請求する場合は、郵送でしますので、申請書(役所のホームページから印刷できます。)を書いて、返信用封筒をつけて、手数料として現金ではなく定額小為替を入れて請求します。これを繰り返し数か所の役所に対してする必要がありますので、一般の人が面倒と思うのも当然かもしれません。ちなみに司法書士が職権で請求する場合には、専門の用紙があります

余談ですが、わたしはそのような事務的な作業が嫌いではありませんが司法書士という職業柄慣れてしまったとも言えるかもしれません。

ご自身で戸籍を集めてみたけれど、途中から手続を頼みたいというご依頼も可能ですので、どうぞお気軽にご相談ください。

なお、定額小為替という言葉がでてきましたので、近いうちに定額小為替についてのお話も書きたいと思います

自筆証書遺言と公正証書遺言、お勧めはどっち?

2017-05-02

遺言書の作成を考えている方から質問を受けることがありますが、その中で最も多い質問が自筆証書遺言と公正証書遺言の比較についてです。

「どちらの遺言書を作成したほうがいいのでしょうか?」という質問は必ず聞かれる質問になります。

ずばり、その回答は、手軽さを取るなら自筆証書遺言です。これに対し、確実に自分の遺言内容を実現させたいなら公正証書遺言です。

自筆証書遺言は紙とペンがあれば作成することができますし、費用もかかりませんので手軽に作成することができますが、その反面、紛失や改ざんのおそれがあり、また自筆証書遺言の条件を満たさず遺言自体が無効とされるなどの危険性も伴います。

例えば、よくある失敗例として、文面をパソコン作成し、署名のみ自筆をしたというもの。これは自筆証書遺言にはなりません。あくまで、全文を自筆することが求められるからです。

また、作成の日付を「平成29年5月2日」ときちんと書かずに、「平成29年5月」としたものや、「平成29年吉日」と書かれた自筆証書遺言書も裁判で無効と判断されています(大決大5.6.1)(最判昭54.5.31)。

このように、自分の相続で家族に迷惑かけないために作成した遺言書が、逆に相続人間の争いを招いてしまうこともありますので、自筆証書遺言の作成には注意が必要です。

 

これに対し、公正証書遺言は公証役場で作成しますので、費用が発生してしまいます。これが、手軽に作成できる自筆証書遺言との大きな違いかもしれません。ただ、公正証書遺言は原本が公証役場で保管されますので紛失や改ざんのおそれがありませんので、確実に自分の意思を実現することができます。また、公証人が内容や形式をチェックするので、無効になってしまうというおそれもありません。

 どちらがいいのかということは一概には言えないかもしれませんが、司法書士の立場からアドバイスすると圧倒的に公正証書遺言がおすすめとなります。

それは、司法書士としてのこれまでの経験上、自筆証書遺言の形式や内容に関して相続人間で揉めるという場面に遭遇することが多いからです。せっかく残される相続人のことを想って作成するのですから、後々のトラブルは避けたいものですよね。

公正証書遺言というと、公証役場など馴染みのない場所にいかなければならず、なんだか難しそうだなというイメージがあるかもしれませんが、そのようなときは司法書士にご相談ください。全面的にサポートさせていただきますので、スムーズに作成いただくことが可能です

相続情報証明制度が始まります

2017-04-27

来月から「法定相続情報証明制度」が始まります。

相続が発生すると、土地建物の名義変更、預貯金の解約、車の名義変更、相続税申告など様々な手続きをしなければなりませんが、今までは手続きごとに膨大な量の戸籍を添付しなければなりませんでした。

通常は、各手続をするにあたり、戸籍の原本とそのコピーを添付することで、戸籍の原本を返還してもらって次の手続きに利用していましたが、戸籍の原本そのものを要求されると、せっかく集めた戸籍を再度一から取り直す必要があり、非常に手間と費用がかかる手続きでした。

今回、この煩雑さを軽減しようと新たにできたのが「相続情報証明制度」(http://www.moj.go.jp/content/001222824.pdf 法務省HPより引用)

 

簡単に仕組みを説明すると、最初だけは今まで通り戸籍を収集する必要があるのですが、一度集めたものに対して、法務局により「相続情報証明書」という1枚の証明書を発行してもらえます。そして、その証明書を添付することで、次の手続きから戸籍の添付を省略できるというものになります。

証明書を取得することで、何度も戸籍を集めなおす費用と手間が大幅に軽減されることになるでしょう。

しかし、この相続情報証明制度、まだ運用に不確かなところがあり、そもそも、すべての金融機関の預貯金解約等に使えるのかというのは不明とのことです。今後の運用を見守り、最新情報をアップしていきたいと思います。

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