物損事故の損害額確定

1. 人身事故と物損事故

交通事故は人身事故物損事故に分類することができます

人身事故とは文字通り、人の身体に損害が及ぶ事故をいいます。交通事故でよくあるのが、むち打ちや骨折を初め、重傷な事故だと高次脳機能障害や最悪の場合、死亡もあるでしょう。

物損事故とはこれも文字通り、車という物自体に及ぶ事故です。典型的なのは、傷などで修理代が発生するような場合です。

人身事故の場合は、軽度むち打ち症などを除けば、損害額が大きく、司法書士の代理権の範囲を超える(140万円を超える)ことも多く、弁護士に依頼する方が適切な事案といえます。

しかし、物損事故の場合には、司法書士の代理権の範囲内であることも多くあります。

 

2.物損事故で争いとなる3つのポイント

さて、物損事故の損害賠償請求を検討する際には、「事故態様」「過失割合」「損害金額」の3点が問題になります。

1. 事故様態

事故様態とは、事故が発生した当時の状況です。信号が赤だったのか青だったのか。スピードは何キロ出ていたのか・・・といった客観的な状況を指します。

客観的な事実はひとつですが、当事者間の言い分が真っ向から対立することも多く、最初争いにな部分です。

 

2. 過失割合

過失割合は、損害賠償額を算定する際に必ず問題になります。事故といっても、一方のみが絶対的に悪いということは少なく、被害者側にも若干の過失があるケースが多いためです。 

加害者が前方不注意で被害車両に追突したというケースでも、被害車両も急ブレーキをかけたため事故に繋がったという具合で、被害者側にも若干の過失が見受けられることもあるためです。

そこで、保険会社は、被害者の過失を探し、被害者に対して支払う賠償額をできるだけ減らすように動きます。

 

3.損害金額

物損事故により修理が必要となった場合、 加害者に対して、適正な修理代金相当額を損害として請求することができます。

ここで問題になるのは、修理することができない場合、いわゆる「全損」といわれるものです。

全損には「①物理的に修理不能な場合(物理的全損)」と「②経済的に修理不能な場内(経済的全損)」がありますが、問題となるのは、経済的全損といわれるものです。

経済的全損とは、車の修理費が車の再取得価格を超えるような場合をいい、この場合は車両の時価となる金額を請求するに止まることになります。

例えば、物損事故により修理費が100万円かかるとします。しかし、事故時の車の時価額が20万円であった場合には、損害額として認められるのは20万円であり、現実に修理代金として100万円を支払っていたとしても、差額の80万円の請求は認められません。

要するに、被害者は時価を賠償して貰えば、同じ車を手に入れることができるのだから、それで十分という考え方によっています。

しかし、これは被害者からすると納得いかないのではないでしょうか。現実的にも、時価の賠償額で全く同じ車を手に入れられることは難しいといえるからです。修理費をかけても修理が可能な以上は同じ車に乗りたいと思うものです。

しかしながら、この経済的全損という考え方は裁判でも確立されているルールでありますので、残念ながら争うのは難しいといえます。

被害者ができることは、同一の車種・年式・型の車両について、レッドブックの価格を参考にしつつも、中古車専門雑誌やネット上の中古車販売情報にあたって、できるだけ事故車両と近い使用状態・走行距離・装備の車両を検索し、その価格を参考に、時価額を少しでも上げる努力が必要となります。

 

*レッドブック:有限会社オートガイドが発刊している雑誌で、中古車の標準的価格を予測算定した業界誌のことです。実務上、時価額を調査する際に利用されています。

 

3. 経済的全損の場合の保険会社の対応

経済的全損の場合、保険会社が提示してくる時価額は、レッドブックを参照にしたものですが、非常に低い場合が往々にしてあります。

保険会社算定の時価額に納得いかない場合には、司法書士にご相談ください。

認定司法書士は140万円以下の簡易裁判所で審理される事件について、弁護士と同じく、保険会社と交渉したり裁判をしたりすることが可能です。

可能な限り、調査をして、時価額を上げるように保険会社と交渉をしていきます。

 

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