1 債権回収には期限があります!
未払いの債権回収を考えた場合、ネックになってくるのは「時効」と呼ばれる制度です。
消滅時効とは、権利が一定期間行使されていない場合に、時の経過によって、権利そのものを消滅させてしまうという制度です。
では、この消滅時効はいつから進行して、いつ完成するのかというと、原則的には、「権利を行使できるとき」から時効は進行し、10年で完成すると規定されています。
例えば、他人にお金を貸した場合、その貸金の返済期日から10年が経過すれば、貸金返還請求権は消滅時効にかかり、債権を行使することはできなくなってしまいます。
貸したお金が1万円でも、100万円でも、金額の大小に関わらず権利そのものが消滅してしまい回収できなくなります。
ですから、未払いの債権回収を考えた場合には、消滅時効にかかる前にできるだけ早く回収に着手することが大切になってきます。
2 短期消滅時効にかかる債権
先程、債権は10年の時効にかかることを述べましたが、法律でさらに短い時効期間が定められている場合があるので十分注意する必要があります(「短期消滅時効」といわれています)。
ご自身が有している債権がどういった種類の債権かによって、1年、2年、3年、5年と時効期間に大きく差が出てきます。
以下、短期消滅時効が定められている典型的な債権をご紹介します。
1年の短期消滅時効
・運送賃に係る債権(民法174条3号)
→タクシー料金等
・旅館、料理店、飲食店~消費物の代価又は立替金に係る債権(174条4号)
→飲食店等での料理代金、飲み代
・動産の損料に係る債権(174条5号)
→レンタカー、レンタルCD・DVDの料金
2年の短期消滅時効
・労働者の賃金請求権(労働基準法115条)
→未払給与や未払残業代
・生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権(173条1号)
→商品の売掛金等
・自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権(173条2号)
→クリーニング店、美容院、洋裁和裁などの料金
・学芸又は技能の教育を行う者が、生徒の教育~について有する債権(173条3号)
→塾や家庭教師などの授業料や教科書代
3年の短期消滅時効
・医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権(170条1号)
→未払診療報酬、動物病院の未払い診療報酬、薬剤代
・不法行為に基づく損害賠償請求権(724条)
→交通事故の損賠賠償請求や慰謝料等
5年の短期消滅時効
・年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権(169条)
→未払家賃や地代等
・商事債権(商法522条)
→企業間の取引によって生じた債権
・労働者の退職金請求権(労働基準法115条)
→未払の退職金
3 時効で消えてしまう前にすべきこと
上記のように短期消滅時効は意外にも日常に密接した債権に定められています。
むしろ、短期消滅時効にかかる債権のほうが多いのが現実ともいえます。
時効完成が目前に迫っているときは、内容証明郵便を送付することで、6か月間、時効完成が猶予されます。
その間に、支払督促や少額訴訟等の裁判手続きを踏むことによって、時効は中断し、振り出しに戻すことができます。
さらに、裁判が確定することで、短期消滅時効の適用がなくなり、時効は10年に伸長されます。
この様な一連の手続を滞りなく進めるためにも、司法書士をご利用下さい。
司法書士はあなたの代わりに代理人となって内容証明郵便の送付から裁判手続まで行うことができます。
まずは、お気軽にご相談ください。